「製品のSBOM(ソフトウェア部品表)を提出してください」——取引先からこう求められたとき、ただファイルを出せばよい、とは限りません。「どの形式で・どの品質で・誰がどこまで責任を持つか」を契約で取り決めておくことが、後のトラブルを防ぎます。経済産業省の手引きが、その参考例を示しています。

経産省「SBOM取引モデル」とは

経済産業省「ソフトウェア管理に向けたSBOMの導入に関する手引 ver2.0」(2024年8月)には、付録として 「SBOM取引モデル」 が追加されました。これは、ソフトウェアの受発注者間の契約で、SBOMについて規定すべき主な事項を整理したものです。代表的な論点:

  • フォーマット:SPDX か CycloneDX か、どのバージョンか
  • 品質・範囲:どこまでの部品を・どの精度で記載するか
  • 責任:記載漏れ・誤りがあった場合の責任の所在
  • コスト負担:SBOM作成・更新の費用を誰が持つか
  • 機密保持:部品情報の取り扱い(NDA等)
  • 更新:依存が変わったときの再提出の頻度・方法

なぜ中小企業が困るのか

取引先(完成品メーカー等)は、自社の規制対応(EU CRA など)や調達基準のためにSBOMを求めます。一方、サプライヤー側の中小企業では——

  • 「SBOMは出せるが、契約でどこまで約束してよいかわからない」
  • 記載漏れの責任を全部負わされたら困る」
  • 更新のたびに無償で出すことになるのか」

——という不安が生まれます。何も取り決めずに出すと、後で責任やコストの押し付け合いになりがちです。手引きの取引モデルは、この交渉の”たたき台”になります。

中小がやること(実務)

  1. 求められているSBOMの中身を確認(対象製品・形式・範囲・期限)。
  2. 契約条項を取引モデルに沿って整理:フォーマット・品質・責任範囲・コスト・機密・更新頻度を、無理のない形で取り決める。
  3. 出せる体制を作る:依存の棚卸し(SBOM)と、更新して再提出できる運用(SBOMを作った後の実務)。

契約条項そのものの法的効力・最終的な文言は、貴社の顧問弁護士にご確認ください。本記事および当社の支援は、技術的・事実的な整理と意思決定の支援であり、法的助言ではありません。

OSSClearが支援できること

  • 製品のOSSライセンスを整理したクリアランスレポート(取引先に出せる形に)。
  • 経産省「SBOM取引モデル」に沿った、取引条項の論点整理のたたき台づくり(フォーマット・品質・責任・コスト・更新を、貴社が不利にならない形に)。最終的な契約文言は顧問弁護士へ。
  • 取引先要求やEU CRA対応の無料サンプル・相談、まずは5分セルフチェック

取引先からのSBOM要求は、「契約でどう取り決めるか」まで整えて初めて安心です。公的な手引きを土台に、中小でも無理なく対応できます。